Kindle書籍『羽生生NEW偉人伝』を作って学んだこと

去年の年末、Kindle書籍『羽生生NEW偉人伝』をリリースしました。その際、いろいろと「思わぬこと」が起こって勉強になったので、反省の意味も込めてまとめておきます。

リンクが張れない

まず問題になったのは、『羽生生NEW偉人伝』の「はじめに」にも書いてありますが、Kindle書籍の場合、リンクが張れないということでした。今回はKindle Comic CreatorというAmazonが用意した「Kindle書籍がカンタンに作れるソフト」を使って作ったのですが、このソフトは各ページをHTMLとして修正することができるので、リンクは張れるとばかり思っていたのです。制作に入る前にテストとしてiPadKindleアプリでリンクが張れるかどうかを試したときにうまく行ってしまったのも、この誤解がそのままになる原因になりました。つまり、リンクが張れないというのは、Kindle Paperwhiteではリンクを設定しても動作しない、ということなのでした。『羽生生NEW偉人伝』では各偉人の解説からWikipediaへのリンク用のボタンを用意していて、連載を掲載している『さるやまハゲの助アプリ』では実際にWikipediaへリンクを張っているのですが、Kindle版では実現することができませんでした。レビューをしていただいたダ・ヴィンチ電子ナビさんでは、

Kindleの仕様上、ホンモノのWikipediaへのリンクは叶わなかった(冒頭にお詫びあり)らしいが、それすらネタに思える圧倒的な"まとまり感"。

と、好意的に取り上げていただいていますが、羽生生さんや読者の方には非常に申し訳ないことをしてしまいました。もくじページからもタップで各偉人のページに飛べるようにしようと思っていたのですが、それもできませんでした。

余白が勝手に削除される

次に問題になったのが「ページによってなぜか画像が拡大されて表示される」というものでした。しかもこの現象はKindle Comic Creatorに付属しているシミュレーターでは発生せず、実機に持っていくと初めて発生します。いろいろ試した結果、まわりが白の画像の場合、その白の部分が勝手に削除されて、その結果画像が拡大されて表示される、ということがわかりました。

試行錯誤の末、「四隅に薄いグレーの点を打つ」という、いかにもバッドノウハウな解決策を取りました。手作業でやるのは大変だったのでPerlMagickで作業、色は#e0e0e0であれば実機で「白として認識されない」ことがわかりました。あとで気付いたのですが、全部の画像についてこの処理を行ったせいで、フェルマーのように黒バックの絵の場合、Kindle Fire HDなどのページ余白が黒で表示される端末の場合四隅に白い点が表示されてしまっています。今後気を付けたいと思います。

目次メニューがちゃんと表示されない

ところでKindleには各ページへダイレクトにジャンプするための目次機能があります。文章の本なら章ごとにジャンプできるようにする感じですね。

Kindle Comic CreatorでKidle書籍を作成する場合、ソフトが自動的にtoc.ncxというXMLファイルを出力してくれます。そこでその中身を書き替えたわけですが、Kindle Paperwhite以外の端末で見ると目次メニューがちゃんと表示されませんでした。iPhoneiPadKindleアプリでは目次用のメニューは出るものの肝心の目次の中身が表示されず、AndroidKindleアプリではメニューすら表示されません。これについては解決方法がわからず、結局そのままリリースしてしまいました。ただ、実際にリリースしたあとにKindleストアで配布されているものを見てみると、Kindle Fire HDXではきちんと目次メニューが表示されていました。ですので、これは恐らくアプリ側の問題なんだと思います。

まとめ

というわけで、「リンクが張れない」、「余白が勝手に削除される」、「目次メニューがちゃんと表示されない」ということが今回学んだことでした。ちなみにAmazonへの登録から公開までは、およそ6時間でした。

文章の本を作る場合はまた違う苦労がありそうですが、今回学んだことを活かしてまたコンテンツを作っていきたいと思います。